泣きたいわけじゃなくて
優しさの裏
教室に戻ると、まだ美奈達は帰ってきてなかった。
「あっ!和美ちゃん。ごめんねー…
中谷がびっくりさせて。」
教室に入った途端に、話し掛けてくれたのは山崎君だ。
「…ごめん。」
中谷も謝ってきた。
「いいよ…。今更どうあがいたってどうにもならないんだから。」
私の一言で一瞬その場の空気が重くなった。
しかし、どうにか場の雰囲気を変えようと山崎君が口を開いた。
「…あっ。肝試しのペアなんだけど」
と、その時
「太一ッ!中谷!ペア組もう〜?」
明実と美奈が帰ってきた。
「えっ?」
「ねっ?いいでしょ?」
「でも、宮迫が…」
「和美は相沢と組んでよ。」
明実は冷たく私を見下ろす様に言った。
美奈は相変わらず下を向いたままだ。
「…うん。」
「ほら!中谷は美奈と組んで!」
「拓海はいいの?」
「…うん。」
「美奈!あのね…「よしっ!決まり〜♪じゃあ美奈。
集合時間まで屋上に行こ?」
「…うん。」