君だけしか映らない
高校に入っても相変わらずで…。女たちはオレに好かれようと必死になっていた。


――――



「やっぱお前ってすぐ目立つよな。」


「なんだよハル…。お前だって目立ってんだろ。」



ハルとは中学からの親友だ。高校の入学式でクラス発表の紙を見ながら、お互いに呟く。さっきから周りの女たちの視線が痛いほどこちらに向けられている。



「あったぜ。オレらまた一緒じゃん。」


「あぁホントだ。」



そして二人で教室に向かった。


―ドンッ


「ご、ごめんなさい!!」


「…いってーな」


突然ハルと一人の女子がぶつかった。ハルはその女子をギロッと睨むと低い声で言う。


「気を付けろよ。」


「…っ!本当にごめんなさい…。」



ハルは不機嫌そうに、その女子が謝っているのを無視して先を歩いた。


「オレ…あーゆータイプの女とは絶対に関わりたくねーな。」


(ハルは面食いだからな…)


チラッと振り向けばさっきの女子は悲しそうな顔をしていた。



―そう。これが荒川との最初の出会いだった。



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