君だけしか映らない
入学式から何日か経ったある日。


「今日はクラス委員を決めるぞ〜」


担任がニコニコしながら言った。


「誰か立候補するやつはいないか?」


そう言って担任は教室中を見渡す。


(そんな面倒なこと誰がやるかよ…)


クラスのやつらはみんな必死に下を向き、担任と目を合わせないようにしていた。



「おっ!荒川どうだ、やってみるか?」


突然、担任は「荒川」というやつを指名した。


(ご愁傷さま。運悪く担任と目があったんだな。)


「えっ…。あ、あの…。」

「どうだ?やってみないか?」


「あっ…………はい。」


担任の押しに押されてその「荒川」という女子は承諾の返事をした。



「よし、じゃあ次は男子のクラス委員を決めるぞ!」


―――


結局、男子のクラス委員も担任と目が合った気の弱そうな男子になった。


「じゃあ、クラス委員の二人、前に出てきて。みんなの前で一言言ってもらおう」


そう言われて渋々前に出てくる二人。



「荒川笑美です…。えっと…一生懸命頑張りますのでよろしくお願いします…」


(へ〜地味でブスな女…。ハルじゃないけど、あんまり関わりたくねーな。…ん?あぁ、入学式の日にハルとぶつかった女か。)




荒川の最初の印象はこんな感じだった。同じクラスだからって、ほとんど話すこともないだろうと思っていた。



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