君だけしか映らない
授業は全く頭に入らなかった。



自分の嫉妬がこんなにも酷いとは…。



相変わらずの荒川の言葉にキレて、しかも場の空気まで悪くした。



…最低だな。



だけどやっぱ荒川と古賀のツーショットは痛かった…

荒川が男子と話していること自体珍しいことだ。



もしかしたら荒川は古賀のことが好きとか…?



―クソッ…!またモヤモヤする。



オレだってあんな風に荒川を独占したかった。



せっかく隣の席なのに、勉強を教え合うことさえ許されない…。




そして、少し冷静になったオレは荒川宛にあるメモを書いた。



―ガタッ


チャイムが鳴りオレは席を立つ。


そんなオレに驚いたのか、荒川は少し身構えた。



「これで昼飯買ってきて」


周りには気付かれないようにこっそりとお金を渡す。昨日、このやり取りを見た町田が荒川を呼び出して大変だったからな。



「食べ物はお前に任せるから。それと、買ったら屋上じゃなくてここに来い。」

そしてさっき書いたメモを渡した。



「じゃあ先に行ってるから」


「ちょっと…」


荒川の言葉に足を止めることなく、オレは教室を出た。



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