君だけしか映らない
突然のオレの謝罪に荒川は困惑していた。きっと何に対しての謝罪か全くわかっていない様子だった。



「…お前が数学のノートを集めてくれた時『委員長ってのを口実にオレらと話したいんじゃないのか』って言ったろ?」



「あぁ…うん。」


「お前がそんなやつじゃないってわかってるはずなのに…ついアイツらの前だと余計なこと言っちまって…本当に悪かったな。」




「…明日は雪が降るかも」


「は?お前何言ってんだよ」



「だ、だって佐伯くんが素直すぎてなんだか変なんだもん!」



「お前…!!」



「だ、だって!!佐伯くんってなんでも強引でオレ様な感じだから…!!こんな素直になられると調子狂うよ」




「これ以上…お前に嫌われるわけにはいかないから」


…本当にこれ以上、嫌われるわけにはいかないんだ。



「え?今なんて言った?」


「聞こえてないならいい!!」



途端に自分の顔が赤くなるのがわかる。なんか急に恥ずかしくなってきた。



自分でもまさかこんな素直になれるとは思ってもいなかった。



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