君だけしか映らない
(なんでこんなことに…。)


あれから何度話しかけてもスタスタ前を行く佐伯悠哉に、私は諦めてその後ろをついていくことにした。



(パシリって“ジュース買ってこい”とかそういう感じだと思ってた…ってそれも嫌だけど…。まさかカバン持ちで一緒に帰ることになるなんて…。)


ふと笑美は気になっていたことを聞いた。


「…カラオケは行かなくていいの?」



すると佐伯悠哉が口を開く。


「…行かない。そういう気分じゃないし。」


(やっとまともに喋った。)

「そうなんだ…。」


ホッとした。このままカラオケ店に直行されたら、たまったもんじゃない。



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