君だけしか映らない
「てゆーかお前、何でオレの後ろ歩いてんだよ。」


佐伯悠哉は振り返り私を見る。


「何でって…!勝手にアナタが先に歩いて行くんじゃない!…私がどこを歩こうが関係ないでしょ!!」



その言葉に佐伯悠哉がツカツカと近寄ってきた。


―グイッ。



思いっきり手を引っ張られる。


「ちょ、ちょっと!なんなのよっ…!」


勢いよく掴まれて持っていたカバンを落としそうになる。


(ヤバい…落ちる!!)


―そう思った瞬間。



「やっぱこれ自分で持つわ。」


そう言って佐伯悠哉は私から自分のカバンを取り上げた。




それでも佐伯悠哉は私の手を握ったまま離さなかった。



「オレの後ろじゃなくて、オレの隣を歩けよ。」



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