君だけしか映らない
「お前オレのパシリって自覚あるわけ?」


そんな自覚持ちたくもないわよ!!


「忘れてないよ!!…わかったから腕を離してっ!」


とにかくここは目立ち過ぎる。早くこの場を離れたい。


「で、私に何かしてもらいたいわけ?」


そう言った途端、佐伯悠哉が自分のカバンを差し出す。


「…これをまた私に持てと?」


「当たり。」


う〜ムカツク!!!!朝からこんなイライラするなんて!


「行くぞ荒川。」


「………。」


笑美は返事をしないで佐伯悠哉の後ろをついて行った。

昨日のバイトの帰り道、自分を労ってくれた佐伯悠哉の言葉にほんの少しだけ嬉しさを感じたが、今はまたいつものオレ様になっている。



「昨日は…少しだけ優しかったのに…」



「なんか言った?荒川。」

「いいえ、別に。」



(そう言えば佐伯くんって私のこと名字で呼ぶよな。考えてみたらクラスで私を委員長って呼ばないの佐伯くんだけかも…。)



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