君だけしか映らない
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「佐伯くん…お昼ご飯買ってきたよ…。」
笑美はキョロキョロしながら佐伯悠哉を探した。
「あぁ…こっち。」
声をする方に駆け寄ると、非常階段に座って笑美を見つめる佐伯悠哉がいた。
「あの…これお昼ご飯…」
「…あぁ。」
渡した袋の中身を見て佐伯悠哉が固まる。
「も、もしかして嫌だった…?佐伯くん甘いの好きだって言ってたから…。」
笑美が購買で買ってきたのは生クリームがたっぷり詰まったパンだった。
「いや…これスゲー好き」
その横顔は本当に嬉しそうで笑美はホッとした。
(機嫌少しはよくなったかな…)