君だけしか映らない
「よかった…。」


そう言って笑美は佐伯悠哉から少し離れた場所に座る。そんな笑美の行動に佐伯悠哉は眉間にシワを寄せて言う。



「なんでそんな所に座ってんだよ。こっちに来いよ」

「こっちって言われても…」


「いいから早く来いよ。」

佐伯悠哉に睨まれると逆らえなくなる…。


笑美は仕方なく佐伯悠哉の隣に座った。



それからお互い無言のままお昼ご飯を食べ始める。


(うぅ…気まずいよ…。)



笑美はチラッと佐伯悠哉を見た。


相変わらずかっこいい横顔だな…ん……?


「ぷっ…」



思わず笑美は吹き出してしまった。そんな笑美の様子に佐伯悠哉が怪訝そうな顔でこちらを見る。


「…何がおかしいんだよ」

「ふふ…佐伯くんクリーム付いてるよ。」


「はっ?ど、どこだよ!?」

佐伯悠哉は顔を赤らめながら焦り出す。


「ここだよ。」


笑美は自分の口元に指をあて佐伯悠哉に教える。


「違うそこじゃないよ。反対だって」


クリーム一つに悪戦苦闘してる佐伯悠哉がなんとなくかわいく見えてしまい、笑美は笑いを堪えることができなかった。


「笑うなよっ!」



佐伯悠哉は笑美の腕を掴みグッと自分側に引き寄せた。


「お前が取ってよ。」


そう言って佐伯悠哉は笑美に顔を近付ける。



(ち、近いっ…!!)



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