君だけしか映らない
「なんで…こんな場所に呼び出したの…?」



「…ここ誰も来ねーから。ここならお前とゆっくり話せる。」


「話せるって…。別にここに来なくても教室とかでいいじゃない…。」



「人が多いと色々とうるせーだろ。現にお前昨日大変だったろ?」



その言葉に昨日、町田さんに呼び出されたことが脳裏に浮かぶ。



「ま、まぁ確かにそうだけど…」


「ここなら誰にも邪魔されない。屋上だとアイツらがいるし。」


佐伯悠哉の言う『アイツら』とはきっとキラキラ集団のことだろう。


「それにお前…ハルのこと苦手だろ?」



「えっ…!」


突然出された加藤の名前に笑美は驚く。


「な、なんで…そんなこと聞くの?私は別に加藤くんのこと…苦手とか思ったことないよ…。」


笑美は無理して笑顔を作ってみる。



「アイツ思ったことすぐに口に出すからさ。…悪かったな。」



「そんな…佐伯くんが謝らないでよ。私は気にしてないからさ。」


「無理すんなよ。…それとオレもこの前は言い過ぎた…悪かった。」


「え…?」



< 92 / 261 >

この作品をシェア

pagetop