君だけしか映らない
佐伯悠哉の突然の謝罪に驚くも、笑美の心は温かくなった。


昨日公園で一人泣いたことを思い出すと、今のこの状況は素直に嬉しかった。



「もしかして、わざわざ謝るためにここに呼び出したの?」



「まぁ…それもそうだけどただ単に二人きりになりたかったってのが強い。」


「えっ?なんで…?」


キョトンとした感じで笑美は佐伯悠哉を見つめる。



「なんでってお前…それ言わすのかよ…。」


再び佐伯悠哉の顔は真っ赤になる。



「も、もしかしてまたパシリ関係のこと?なんかとんでもない命令でもあるの!?」



「……は?」



「え?違うの…?じゃあなんで…佐伯くんが私と一緒にいたい理由なんてパシリ以外思いつかないよ。」



「…ホントにわからねーの?」



そう言って佐伯悠哉は笑美の腕をおもいっきり自分側に引き寄せた。



「うわっ!ちょっと…!!」


そう声をあげた時には、笑美は佐伯悠哉の腕の中にすっぽりと収まっていた。



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