君だけしか映らない
(お、落ち着くって……!!)

もう意味がわからない。笑美の頭の中はショート寸前だ。



「…だいぶ大人しくなったな」


(耳元で言わないで〜!!!)

「…………。」


佐伯悠哉が話しかけても今の笑美はそれどころじゃない。



「…おい、聞いてんの?」

そう言って佐伯悠哉は腕の力をゆるめて笑美の顔を覗き込む。


「や、やだっ!!見ないで!!」


今は佐伯悠哉の顔なんてまともに見られない。顔どころか身体中が火照って仕方ない。



「っ……!!その顔は反則だろっ」



「え……?」


(今の顔…そんなに不細工だった…?)


思わぬ言葉に笑美はシュンとなる。それを察したかのように佐伯悠哉が口を開く。



「そーゆー意味じゃねーよ!!お前が…その…あんまりにも真っ赤になるもんだから…スゲーかわ…」


最後の方はゴニョゴニョと口ごもってしまった佐伯悠哉は笑美並に真っ赤な顔になっていた。



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