ショコラ番外編~小さな恋の終わり~
やがて、お姉ちゃんが深く頭を下げた。
彼はこまったように頭をかいて、
そして、お姉ちゃんに握手を求めた。
お姉ちゃんはためらいながら手をのばし、
そうして離した瞬間、こっちへと歩き出した。
彼はずっとこっちを見つめている。
だけど、お姉ちゃんは振り向かなかった。
「お待たせ。沙紀、比奈」
お姉ちゃんは滑り台の端に腰かけている比奈を抱き上げて、ベビーカーに乗せた。
「何の話してたの?」
私の声が聞こえているのかいないのか。
素知らぬふりでお姉ちゃんはベビーカーを動かす。
「ねぇったら」
「……もう終わったこと」
「お姉ちゃん」
「なのに、なんでこんなに胸が痛いんだろうね」
顔をあげたお姉ちゃんは涙目で、私は一瞬言葉を失くす。