ショコラ番外編~小さな恋の終わり~

やがて、お姉ちゃんが深く頭を下げた。

彼はこまったように頭をかいて、

そして、お姉ちゃんに握手を求めた。


お姉ちゃんはためらいながら手をのばし、
そうして離した瞬間、こっちへと歩き出した。

彼はずっとこっちを見つめている。

だけど、お姉ちゃんは振り向かなかった。



「お待たせ。沙紀、比奈」


お姉ちゃんは滑り台の端に腰かけている比奈を抱き上げて、ベビーカーに乗せた。


「何の話してたの?」


私の声が聞こえているのかいないのか。

素知らぬふりでお姉ちゃんはベビーカーを動かす。


「ねぇったら」

「……もう終わったこと」

「お姉ちゃん」

「なのに、なんでこんなに胸が痛いんだろうね」


顔をあげたお姉ちゃんは涙目で、私は一瞬言葉を失くす。

< 22 / 34 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop