ショコラ番外編~小さな恋の終わり~
苛立ちの訳は、羨望。
彼に好かれたお姉ちゃんに。
自分の気持ちにまっすぐなお姉ちゃんに。
後悔しないように生きるお姉ちゃんに。
そう。
私は、羨むばかりで。
自分の気持ちから目をそらし続けてた。
当事者じゃないのに苛立つのは。
当事者にもなれなくて悔しかったからだ。
「どうしたの?」
彼の、茶色い髪が揺れる。
3年前。
一緒に歩いた帰り道。
私の心は浮ついてた。
あなたと一緒だったから。
『沙紀、もしかして徹の事が好きなの?』
和美の言葉は正しい。
そうだ、多分。
ずっと彼が好きだったんだ。
なのに。
あなたが選んだのは、よりにも寄ってお姉ちゃん。
だから悔しくて。
どうしようもないほど悲しくて。
私はあなたが嫌いになった。