ショコラ番外編~小さな恋の終わり~


「お姉ちゃんと、……何を、話してたんですか」

「ああ。心配?もう人妻だもんね」

「えっと、あ、まあ」

「大丈夫心配してるような事は何もないよ。俺が振られただけ」

「……」


顔を上げると、中本さんが苦笑してる。


「見てたでしょ?」

「……まだ、お姉ちゃんの事、好きなんですか?」

「忘れたつもりだったんだけどね。和美に言われて、なんか気づいた」

「和美?」

「そう。沙紀ちゃん、友達なんでしょ? この間一緒にいるの見たけど」

「ああ。まあ。……あの」


和美が一体何を言ったっていうのだろう。

ああ悔しい。

あの子もお姉ちゃんと一緒。

彼とひと時を共に過ごして、彼のかけがえのない一瞬を担って。


「和美に言われたんだ。
『ちゃんと別れたかった』って。

俺もそうだなぁって思ってさ」

< 26 / 34 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop