ショコラ番外編~小さな恋の終わり~
「お姉ちゃんと、……何を、話してたんですか」
「ああ。心配?もう人妻だもんね」
「えっと、あ、まあ」
「大丈夫心配してるような事は何もないよ。俺が振られただけ」
「……」
顔を上げると、中本さんが苦笑してる。
「見てたでしょ?」
「……まだ、お姉ちゃんの事、好きなんですか?」
「忘れたつもりだったんだけどね。和美に言われて、なんか気づいた」
「和美?」
「そう。沙紀ちゃん、友達なんでしょ? この間一緒にいるの見たけど」
「ああ。まあ。……あの」
和美が一体何を言ったっていうのだろう。
ああ悔しい。
あの子もお姉ちゃんと一緒。
彼とひと時を共に過ごして、彼のかけがえのない一瞬を担って。
「和美に言われたんだ。
『ちゃんと別れたかった』って。
俺もそうだなぁって思ってさ」