ショコラ番外編~小さな恋の終わり~
「やっとすっきりできたから。……いいです」
涙声のその言葉は、精一杯の強がり。
彼は笑って腕を解いて、私に握手を求めた。
「俺たち、今同じ気持ちなんだろうな」
「……でしょうね」
ずっと忘れられなかった人に、ちゃんと振られた。
そんなロクでもない共通点、
嬉しくもないけど。
だけど、これで、あなたの中で、私はもう通りすがりじゃないでしょう?
それだけで、満たされたって言ったら、笑われるかな。
「帰ります」
「送ろうか?」
「いいです。……さよなら!」
私が駆け出すと、彼も大きな声で答えた。
「さよなら、沙紀ちゃん」
「さよなら!!」
もう一度、大きな声で答えて。
私は涙をぬぐって顔をあげた。