積もる思い、真実の愛。
――恭哉だな。ああ、絶対そうとしか考えられない。
「でも、俺なんかを入社させるメリットは?」
とはいえ。少しでも顔色を変えれば、ソコへつけ込まれるのは目に見えてる。
アホで鈍感な妹とは違って、この人の本性も何もかもが理解不能だ…。
すると柚希さんは半分ほど減った煙草を灰皿へ押しつけ、ジュっと火を消した。
「立ち上げたばかりの新ブランドがあってね?今は話題性たっぷりなの。
だけど。舵(かじ)の取り方によっては、この厳しい情勢に立ち向かえないわ。
私的事情を言っちゃえば、自分の味方になってくれる人も欲しいし?
そこで尭の生まれ持ったセンスと頭脳に、白羽の矢を当てたってワケ」
“これでどう?ウソ偽りは無いわよ?”
そう言いきって両手を広げた彼女に、ククッと笑いが込み上げてしまう。