積もる思い、真実の愛。
アパレル業に従事して分かったのは、センスは元より素早さが求められるから。
毎日バタバタ慌ただしく過ごしているウチに、あっという間に4年が過ぎていた。
入社当時には新ブランドだった“-ange-”も、すっかり定番となり始めていて。
本当にソレを気にする間もなく、奔走していた俺の肩書きがチーフへ変わった頃。
まさかのサプライズ…、もとい柚希さんの陰謀だろうと思える事態が起こった。
「あ、尭くん…!」
「・・・」
おい社内だろ。幾らなんでも名前で呼ぶなっての。
とは言える訳もなく、とりあえず空気の読めないアホな新人を睨みつけた。