積もる思い、真実の愛。
有名私大ともあって、たいていは親が所有する豪華マンションに暮らす女が多く。
自分の家(テリトリー)に踏み込まれたくない俺には、ソレと顔が判断基準だった。
寄って来る女は受け入れ、別れると言われれば追わない――
高校時代から彼女一筋の恭哉に言わせれば、“バカげてる”だそうだが。
俺よりもオマエの兄貴こそ、元カノの柚希さんから“風船男”呼ばわりのクセに…。
「アキって、就職どぉするの?」
「…まだ決めてねぇけど」
「えー、それならウチ来てよぉ!
アキと一緒に働きたいしぃ――ほらオフィスラブ的!?」
いま付き合っている希も、父親が大手の不動産会社を経営するご令嬢さん。
とりいって興味はないけど、気に入らないのは“のぞみ”という名前。
むしろアホさを滲ませる発言も、アイツを重ねてしまうのが厄介だ。