低温の哀で君を壊す

離れたい

―――――――
――――…




退屈を持て余す高校生活。

代わり映えのない毎日をただ繰り返しに過ごす俺は早く、この狭苦しい学校という環境から外に出たかった。


立場や面子しか頭にない教師。

上辺の関係に群がるガキ。


俺は俺、そうやって生きたかった筈がなんとなく昔よりも周りに溶け込む術を知った。


良く言えば器用に振る舞えるようになったんだろう。


これが協調性ってやつ?


ガキはガキなりにこの数年でずる賢く汚い生き方を覚えた。


人に合わせる訳ではない。


ただ昔よりも周りに気を配れるようになったんだろう。


今だって誰かと深く関わり合うのは面倒だけど自分を偽って口先だけでするやり取りも、それに騙されてくれる人間も



「……馬鹿らしい」

「え?なーにー?」

「俺帰るからじゃーね」



自分の利益しか考えない表面の上手さを武器に嘘で塗りたくられた言葉と笑顔が重なる。


吐き気がするな、ほんとに。



「もう帰っちゃうのー?やだ寂しい」

「ごめんね」

「えぇー。響、遊ぼうよ」



かんに触る口調は甘ったるい。バサバサしたまつげにいやらしく緩む唇からは誘いのセリフが漏れた。


腕に絡みつく女は頭もその中身も比例した軽さを持ち簡単に股を開くで有名な尻軽女。


シトラス系の香水がふんわりと空気に混ざり漂う。


何して遊ぶの?なんて野暮な事を聞かなくたって、ナニをしたいのかくらい簡単に想像がつく。ツマラナイ。



「また、今度」
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