低温の哀で君を壊す
尽くしたい
「―――…んんっ、」
はあっと熱がかかった甘い息。
"おにーちゃん"そう呼ぶ声は今にも消えてしまいそうなほどか細く小さい。
下半身にクる表情と声は俺を悦ばす材料にしかならないというのに、馬鹿だなあ。もっとイジメたくなるじゃん。
「舌」
「…え」
「どうするか、教えただろ?」
こくっと頷き恐る恐る顔が近付いてくる。
口内でちろちろ遠慮がちに動く舌が奏の限界かと思うとこそばゆい反面じれったい。
回す手で頭をおさえ遠慮なんか知らない俺は本能のままその行為に没頭した。
苦しそうに歪む顔を見るとそれ以上歪ませたくなる。
唾液まみれの唇を手の甲でさっと拭い奏の両手首を掴んだ。
「奏にしては頑張りました、って感じ?」
どさっと組み敷いた下で困惑の色に揺れる瞳はうっすらと涙を溜めたまま俺から目を逸らす。
可愛い。よくできました。でもダメだよ。ちゃんと俺を見ていなきゃ。
紅潮する頬を撫でると強張ったままの体が面白いくらい跳ね上がった。
これが別に初めてって訳じゃないのに、新鮮すぎる反応は何度味わっても飽きない。