低温の哀で君を壊す
「どこ向いてんの?よそ見しないでこっち向いて」
無防備な真っ白な首筋に俺は誘われるかのように舌を這わせながら左手を服の中に忍ばせる。
震える奏が可愛くて、俺が与える快楽にいちいち感じて呑み込まれてしまう様は妖艶でどの女よりも綺麗だ。
こんな顔をする奏は俺しか知らない。
俺がそうさせている。
優越感と支配感でいっぱいになる心。
ぐちゃぐちゃにしたい。満たされたい。満たしたい。もっと歪め。俺しか考えられなくなればいい。
「――…奏」
なるべく優しく名前を呼びながら耳を甘噛みする。奏はこうやって呼ばれてされるのが弱い。
"俺だけが知る奏"に高潮しながら肌に唇を押し当てた。
女はよく五感で感じるというけどそれもあながち間違いなんかじゃないな。
「っ、おにーちゃん」
「おにーちゃんじゃないでしょ」
「…響――ぁ…」
「うん。感じてる奏すっごく可愛いよ」
熱くなる体と体は重なる。
俺は男で奏は女なんだと改めて華奢な肩とか柔らかさとか俺にはないものばかりに思い知ってうっとりした。