天使の悪魔



「ぐれてないもん……イラっと来たけど。」

思ったことが口からポロっと出てきてしまい、慌てて口を手で塞いだ。


「へぇ~、イラっと来たんだ?何で?」

ニコっと笑う千葉さんは、肉が笑ってなくて悪魔のようで怖かった。

何を怒る?

「別に何…痛ぁあ!!!」

うわっ

うわあっ!!!

急に、全身に釘が刺さるような痛みが伝わる。


「痛い痛い痛いっ!!」

何?!この痛みは?!


ハッと気づき、足元へ目をやった。

「ぅっ!!」

ヤバイ…

よろけてきた…


さっき二又転んでしまった足に、血が沸き上がってる!!


「うわ…お前足大丈夫か?めちゃくちゃ血出てんぞ。」

「知ってる…痛いよ…」

いつの間にか、涙は目からボロボロ流れる。

うう……人前で泣きたくないのに……


「先輩…保健室どこですか?」

もうとにかく手当してもらう。

血を止まらせてもらおう。


「え?あっち」

そう言って、先輩は左のほうに手を差した。

「………」

そ、それだけじゃ分かりませんよーっ!!



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