天使の悪魔



「っふ、何?俺に連れてってほしい?」

彼は見下ろすような目線で私を取り捕まえた。


ドキッ


こんな状況でも、彼は完璧な程カッコよすぎる。

まぁ、吐き出す言葉はどうかと思うけど。


「…………はい…」

「何かお詫びしてもらわないとな~?」


お詫び?

その台詞を聞いて、パパパっと頭の中で回想が回る。


先輩の手が私の頬に触れて、

唇――…


うあああ!!!

何考えてるの、私?!

てかよくもあの状況で恥ずかしくなかったよ私!!

今思えば、死ぬほど恥ずかしい……


ん?

ていうか、

ふぁ、ふぁ…

ファーストキスが………


サァっと青くなる私の顔色。

「ん?どうかしたか?顔色悪いぞ。」

は、はは…

ううん。違う。違う。

あれは犬に噛まれたんだっ!!

そうだ!!

犬に噛まれたんだ!!

うん、これなら立ち直れるっ!!



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