天使の悪魔



「っは…」

籠から放れた小鳥のように、私はベッドのシーツを破れるんじゃないぐらい強く握り全力で酸素を吸い込む。

「ゴホッ、ゴホッ」

胸元に手を当てて、咳が出る。

そんな私と対比的に、千葉さんは軽く穏やかに息を吸って私のほうをジッと見つめる。

ウザッ……


「意味不明…」

「あ?」

あ?じゃないでしょ。どうゆう神経してこのような事をして平然といられるの?

ちゃらんぽらんの境界を越えるほど恐るべし…!!


ブチッと、神経の何かが切れるような感じで苛立つ。


「サイッテー!!一回目は犬に噛まれたと思って多めに見たのに、二回目は何ですか?!添い寝の説明にキス?!どんな頭してるんですか?」

爆発したとはいえ、一応敬語で話してしまう私。

なんたって、千葉さんの切れ長い目を見てると体が無意識に反応しちゃう。

この際まで冷静に考えちゃう、ジッと見てくる彼は、


…カッコいい…

と、思いつつ。

「……犬?お前こそどうゆう頭してんだよ。俺様に対してよくもそんな生意気な口叩きやがる」


………は?

俺様?

誰様?

この人、自分の事をなんと…?


俯いていたはずの顔を上げると、

彼と目が見事に合った。

その瞬間、電流が全身に流れ込むように

磁石がお互い引き合うように、

目が、離せない…


ミルクティな髪色、切れ長い目、保健室の真白いスーツを覆うベッドに見詰め合う私と彼。



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