【超短】また明日
「…そうか。」
僕は彼女の髪をくしゃりと撫でた。
「あたし…死ぬのかな。」
「死なないよ」
フォローを入れたつもりはなかった。
ただ、純粋にそう思ったんだ。
「お前が死んだら僕が困る。」
「………」
「毎日の5分間の楽しみが無くなっちまうからな。」
「…お兄ちゃん」
「…あぁ、もうすぐ5分だな。僕はもう戻らなくちゃいけない。」
「もっと…話し…たいな…。」
「面会は5分間だけだっただろ?また明日も来るから。」
こんなことを言っていて僕は正直辛かった。
「…うん。わかった…」
あぁ、ごめんな。
僕はベッドの脇の椅子から立ち上がり、「じゃあな」と小さく言った。
彼女もまた小さく手を振る。
ドアを閉める時だった。
彼女の口が動いたのは。