【超短】また明日
――あ・り・が・と・う――
声は出さず、口真似だけで。
「…ったく、泣かせてくれるよな…。」
僕は知っている。彼女の命がもう長くないことを。
もしかしたら、もう彼女に明日は来ないかもしれない。
――だけど。
彼女が僕を信じてくれるのなら僕も彼女を信じよう。
いつも通りに、笑って、他愛もないことを話して、冗談が言い合えるあの5分間が来るって信じてるから。
だから、さぁ。
泣いたって構わない。
―――明日は来るのだから…
―END―