恋愛温度、上昇中!
「気軽なパーティだから、顔だけ出してすぐに行けばいいよ」
新橋さんは、『取引先』という言葉が重くならないように気遣う。
だけどどう考えても、確実に私は邪魔でしょ。「いえ…遠慮します。」はっきりそういったタイミングで、受話器の向こうがガシャン、と高い音が響いた。
「…ん?なに?あ、司も来るから、心配しなくていいよ」
少しだけトーンを変えた声。いや、それ以前に日本語おかしい。司もくるから?どういう、
「日曜日、約束取り付けないと、高見さん困るんだよね?」
新橋さんが微笑するのが分かる。だけどその柔らかい口調が何ていうか、有無を言わせないというか、なんなんだ。
それに、あの一瞬で祥子の性格を見抜くなんてすごい。
「僕も高見さんが来ないと困る、つまらないから」
「は?」
「可愛くしてきてね」
「え?いや、無理です。服とか、持ってないですし」
「服ね、分かった。司にいっとく、じゃあ日曜日、6時に。セントラルホテルのロビーで」
「な、ちょっと、私、行くつもりな…」
言葉が切れたのは、ツーツーという会話終了を知らせる耳障りな電子音が流れたから。
なんなんだ。