恋愛温度、上昇中!

切れた携帯を眺めて大きくため息をつく。新橋さん、強引過ぎる。

ささくれ立った気分を沈めるために濃いブラックコーヒーを飲んでから、祥子に電話した。


「勿論、行くわよ!あんたも一緒なら心強いわ」

祥子は声を弾ませる。

「私は行かない」
「何言ってんの?関谷さんも来るんでしょ?丁度ペアになるんだから問題ないじゃない。それに私は関谷って人も紹介しなさいって言ったでしょ?」


問題だらけだ、祥子。なんで私が関谷と。というか、紹介って、もういいですよね?私はよいつもりだったよ。


「無理よ、連絡とるのでさえ色々難しかったのに」

これ以上、どうしろと。

「ぐだぐだ言わないの。ドレスコードは?どこの創立記念?」

ぐだぐだ……って。

「聞いてない」

ドレスコードなんて気にしなかったし。レセプションパーティには呼ばれたことはあるけど私はいつもパンツスーツだ。

「ま、いいわ。セントラルホテルね。知り合いがいるから聞いとく。日曜、そっちに行くから。美容室は予約しておくわ。」


そういって通話が終わった。


祥子のこういう時の行動力はすごい。
勉強とかには一切向かなかったのに。

「ハァ」


私は短い溜め息で視線を落とす。眼鏡が曇って視界がぼやける。

何だか、そう。視界が曇ったような、展開。


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