恋愛温度、上昇中!



渋々ながらも関谷に連れられた店は大通りにあるセレクトショップ。


オフホワイトで統一された店内、中心部にはペンダントライトの下ゆったりとしたソファとテーブルが置かれてあって、それを囲むように洋服がディスプレイされている。アクセサリーやバッグがショーケースにインテリアのように飾られているお洒落な店。


「いらっしゃいませ。関谷様」


完璧な微笑を添えてきっちり30度で頭を下げる店員さんに、私もつい頭を下げそうになる。

店内を見渡せば、妙にテカテカした薄紫のドレスが目に入った。
ピラピラの値札についている数字を何となく眺めた。…ゼロが多い。いち、じゅう、ひゃく…1着20万!?このテカテカが!?

「それにするのか?」

関谷がソファに座ってこちらを眺めている。なにその慣れた感じ。
店内の雰囲気と調和して一枚の絵みたいだ。

「似合わない、やめろ」

私が返事を返す前にドレスと私を見比べて関谷は片方の眉だけ綺麗にあげた。

「言われなくても買いません!」

というか、買えません!

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