恋愛温度、上昇中!
「え、いや、その」
無理だ!
はっきりと言いたいけれど、ここで関谷と押し問答をする勇気は流石になくて無理無理と必死で頭を振ってみせても関谷はどこ吹く風でヒラヒラと手を振った。
「こちらです」と店員さんに案内されればもうどうにでもなれと、おとなしくフィッティングルームと書かれたそこへ向かう。
ドアががしゃりと閉まってよろしければファスナーをお上げしますのでお呼び下さいと丁寧に頭を下げられれば私も覚悟を決める。入らなかったら恥ずかしいと思いながら袖を通せば意外にも体にぴったりだった。
「あの、すいません」
「よろしいですか?では失礼します」
ドアのすぐ側に控えていたいたらしい店員さんが笑顔を添えて後ろに立ちゆっくりとファスナーを上げてくれる。
「まあ、素敵なランジェリーですね」
小声で感嘆したように店員さんが呟いて一気に照れてしまった。
「とてもお似合いです」
ファスナーを上げ終わった後形を整えてくれて店員さんが笑顔を見せれば鏡に映る自分を恐る恐る見つめた。
体のラインに沿ったドレスは上品でやっぱり大胆な青い花に目を奪われる。相変わらず化粧っ気のない私のままなのにまるで自分じゃない誰かがいるようで気分が高揚した。
ああ、私って本当単純だ。