恋愛温度、上昇中!

「さ、披露しましょう」


え、と顔を上げれば店員さんは笑顔を乗せたまま「こんなに素敵なのに私だけ独占したら怒られますわ」とフフと微笑んで手を引く。

なすがままに関谷の元へ戻って恥ずかしさに俯いてしまった。笑われたらどうしよう、似合わないとまた一蹴されるだろうか。そんな事をぐるぐる考えていたのに関谷は、

「やっぱり似合う」

と眩しそうに目を細めて笑った。
その嘘のない笑みが居心地悪くて目を逸らしてしまう。女ったらしと小さく悪態をついた。

「じゃあこれで。あとはこれに合う靴とバッグ見繕って」
「承りました」

その言葉に弾かれたように顔を上げると関谷は何?みたいな顔で首を傾げる。ち、ちょっと。

「関谷、私その」

このドレスだけで持ち合わせは吹き飛んでしまう。靴とバッグなんてとてもじゃないけど買えない。でも買えないとは言えない雰囲気。

とりあえず着ていたドレスを急いで脱いで関谷の所へ戻れば、関谷がカードを店員さんに渡していた。

「関谷!」

つい大きな声が出てしまう。

「なにしてるの」

関谷のシャツを引っ張って小声で苛ついた声を出せば関谷はあっけらかんと「支払い」と言う。


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