恋愛温度、上昇中!
「見たら分かるから!なんでってことよ!」
「おまえこそ、何言ってんの?今日無理矢理呼ばれたんだろ?選んだのも俺が無理矢理だから気にするな」
「するし!」
ぐいっと関谷の腕を引っ張れば関谷が困ったように笑って私の腕を掴んだ。
「じゃあ、仕事と思えば?多空の事だからパートナー同伴って言ったんだろ。嘘だよ、それ。別に同伴でも問題ないけど。前に言っただろ?多空と一緒にいると女が寄ってくるんだよ。俺ひとりでも勿論。女連れていけば虫除けにもなるしな」
虫除け、って。自信過剰なその言葉も納得できる容姿だから悔しい。でも虫除けってあんまりでしょうよ。
「だからこれは依頼。で、報酬だと思えよ」
「私、そんな何でも屋じゃないんだけど」
「だろうな」
「それに、あんただったら私じゃなくてもついて行きたい子いくらでもいるでしょ?」
どこからどうみてもモテる男なのだ。雰囲気イケメンとは違う。正真正銘の。
「ああ。だけど俺はおまえがいいんだよ」
な、なんで。真っ直ぐに見つめる黒い瞳に言葉が詰まる。
「やっと電話してきたと思ったら他の男の話をするような無神経な女がいい。媚びてくる女より数倍まし。分かる?」
「あれは、いや、うん。でも、」
確かに無神経だったのかもしれないと今更思えば、それでも関谷が何を考えているかなんて分からなくて、逸らさない瞳にどぎまぎしてしまう。
「今日は恋人になれ」
その言葉が単に今日だけの為であっても私を揺らすには十分だった。