恋愛温度、上昇中!
そろそろ出ようかと言った新橋さんに拒む理由はなく、祥子は目を輝かせた。
新橋さんは挨拶をしてくる、とまた席を離れる。
会場を見渡せば、一度見つけた背中はすぐに探し出せる。
彰俊、
…ねぇ、あんたはこれでいいの?
恋愛、なんて、やっぱり分からない。
再び三人になった空気に、間を持たせず、新橋さんはすぐに戻ってきた。
「待たせてごめんね」
微笑む姿はやっぱり綺麗な男の人。これから、もしかしたら、祥子と発展するかもしれない人。
「…行くぞ」
余計な感傷に浸る間もなく、低い声が耳元に響いて関谷は慣れた動作であたしの手を取った。