恋愛温度、上昇中!
─────ロビーから外に出ると、ムワとした生温い熱気を感じて、露出した肌が少し汗ばむ。夏特有の心地よい暑さだった。
大通りの路地裏まで短い距離、そこにあるショットバーに向かうらしい。
息を吸い込んで、一度踵を鳴らす。もう少し頑張ってね、とあたしの足にお願いしておいた。
「遅い」
え、
聞こえた声に、心臓がビクリと跳ねる。
「なんで、」
白い煙が空気に溶けては消えていく。煙草の煙を下へ吐き出して、そんな些細な動作さえ目を引く、そんな男。不本意ながらあたしは人生でそれを初めて認めたかもしれない。