恋愛温度、上昇中!
「…何だか遠く感じる」
「祥子?」
「学生時代、あの頃は若かったんでしょうね」
そうかもね、何もかもが、大人になりきれない、そんな時代。
「恋、なんて、純粋な言葉よね」
祥子は溜め息と一緒に言葉を漏らす。
遠い『それ』が、今は痛い。
「…近過ぎたから、駄目だったの?」
あたしは、窓から視線を逸らさず、自問する様に聞く。近ければ、壊れるのに、遠ければ痛い、なんて。
「…そうね、そうかもね」
霞む視界に祥子の表情は見えなかった。