恋愛温度、上昇中!

どうして、この状況。


頭を整理してもよく分からない。タクシーの中何故か私の横には何を考えているのか全く分からない男。


「…何見てんだ?」


ああ、もう。苦手過ぎる。


「なんで、」


あなたがここにいるのよ。

思いきり眉をしかめた私に、関谷は不機嫌になるでもなく疲れたように体を椅子に預けた。


「知るかよ。別に取って食やしねーから、そんな顔するな」


笑う関谷。


この人、こんな風に笑えたんだ。


王子とは全く違う、トゲトゲしい態度。その突き放した様な冷たい瞳に似合い過ぎる気怠い雰囲気。通った鼻筋、男の癖に色気のある口元。
寝癖なのか無造作な黒髪の右端がちょこんと跳ねて、そのナチュラルな感じを今更意識してしまう。

何の意図もない、自然な笑顔が無意識に惹きつけるなんて思ってないだろう。だって、そんな顔さっきまでは見せなかったじゃない。


不覚にも、ドキっとしたのは気のせいだと思いたい。





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