恋愛温度、上昇中!
「…ふ」
関谷がまた堪え切れないと言う風に笑った。
「撤回」
「え?」
「ひどい顔、は嘘。おまえ面白い位表情変わる」
な、にそれ。
「感情の出し方は下手くそなのに、馬鹿みたいに素直だな。見てて飽きない。変な女」
「それ、どういう」
意味なの、
「そのまんまだけど?そんだけ壁作ってんのに、男に誘われてその意味考えねー顔してるから」
クッと笑ってから欠伸をする関谷。
「誘われて?」
私が首を傾げると、関谷は珍しいものでも見たかのように目を細める。
「多空の誘い、なんで断ったんだ?」
「なんで、って。新橋さんと一緒にタクシー乗るルールでもあるんですか?」
眉を寄せた私に「警戒心がねーの?」と呆れたように息を抜く。
警戒心?なんで、警戒心?
「……あれって警戒心持つ方の誘いですか」
まさか、ねえ?
「俺はそう思いますけど?」
面白がるように答えた関谷。
その発想は、なかった。
だって、あの人王子様だもの。雑食なイメージは、ない。