恋愛温度、上昇中!



「おまえさ、彼氏とかいねーだろ」
「…あなたに迷惑かけてないじゃない」

関谷は何か考えるように黙り込む。切れ長の真っ黒な瞳は何を考えているのか全く分からないままで、滑らかな肌が夜のネオンにうっすらその形を見せる。
…てっきり何か言い返すかと思ったのに。私がそう思った時、



「すっげ迷惑」


関谷の形良い唇が素っ気なく単語を放つ。


「は?」


その一言以外にこの暴言男には発する事が出来ない。


「プライドだけいやに高い無表情な女」


…っ!


「なんなのよ」


叫びたいのを必死で堪えて声を押し殺す。この無駄に整った横顔を全力で殴りたい。むしろ殴らせろ。


「…それに鈍感、」


意味が分からない。この男。喧嘩売ってんのか。



「…あー面倒くせー」



関谷は無造作な頭を掻くと私にその切れ長の綺麗な瞳を向けた。



思わずその透明な瞳に体が固まって、次の瞬間───────触れたのは、




─────唇。





「……は!?」



「…色気ねーな」



関谷のクッと笑う仕草に温度が上がる。


私はただ、それに馬鹿みたいに固まって、体中に経験した事がない駆け抜けた感覚に一瞬気が遠くなった。


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