恋愛温度、上昇中!

「…っ!なにすんのよ!」

顔が熱い、荒げた声と思い切り避難の目線を投げ付けた所で、関谷の表情は全く変わらない。


悪戯に口元だけを上げ凶器のような闇色の瞳が私を真っ直ぐ見つめる。


「キス」


なにいってんの?みたいな顔をする関谷に、私一人熱が上がる。


「分かるわよ!馬鹿じゃない!」
「じゃ聞くな」


そういう意味じゃない!ここタクシーの中ですけど!?
いや、そこじゃない。一人焦る私が馬鹿みたいで悔しい。ふざけんな、と力の限り罵倒してやりたいのに、


「おまえみたいな女いるんだな」


どこか愉しげな関谷に、力が抜ける。


何を考えているのかさっぱり分からない横顔は、綺麗なラインを作っていて、形良いなにもかもが、腹立たしいのに、



────何故か私はそれ以上何も言えなかった。



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