恋愛温度、上昇中!
―――なんで、こんな単純な事に気付かなかったんだろう。
ヒールのせいで走り辛い足は重くて、アルコールで飛んだ頭は幾らかスッキリしてきた。
どこに向かうのか分からない夜道は、飲み屋のキラキラした看板と活動を止めない車の音で五月蝿くて、酔っ払った若者がだらしない顔で歩いている。
そんなリアルは、感覚のない体とかけ離れた気分で、
どうして、こんな単純な事に気付かなかったんだろう―――
私はまたぼんやり、考える。