恋愛温度、上昇中!
タクシーはあっという間に私のマンションに着いて、素早く私は腰を上げる。
キスは犬に噛まれたとでも思うしかない。
犬、犬、大丈夫。犬だ。
「ちょっと待て。おまえなんか紙持ってる?」
関谷は自分のポケットを探りながら私を見上げた。
紙?なんで紙?
よくわからないまま名刺を差し出すと、関谷はそれをチラッと眺める。
「会社名『アンティミテ』てゆーんだ。フランス語で『親密な関係』っていうの知ってるか?」
私はその言葉にゆっくり頷く。社長に聞いたことはないけどランジェリーとの関係をイメージしたんだと思う。
関谷は、私の返事を特に気にしたようすはなさそうで、それから裏側にサラサラとなにかを書いていた。
「お嬢様さん、俺と親密な関係になりませんか?」
蕩けるような微笑を添えて、ハイッと名刺を握らされた。