恋愛温度、上昇中!
それから、自分の部屋に帰りつくまでの記憶がない。
掌にはよほど強く握り締めたのかくしゃくしゃになった名刺。
殴り書きで書かれた数字の陳列が携帯番号だとわからない程馬鹿じゃない。
頭をブルブルと振った後、三回くらいカーペットの上でゴロゴロした。
本気にしちゃだめだ。
簡単にキスして、あんな事サラリという男の言葉を間に受けたら高確率で泣かされる筈。
犬に噛まれて吠えられた。
そう言い聞かすのに、関谷を思い出せば上がる温度。
およそ三年と少しぶりのキスと、丸まった名刺が私を悩ます。