恋愛温度、上昇中!


山都さんは、時間を感じさせない人だと思う。
 きっと彼は人気があるだろうし、柔らかな物腰は第一印象でまず好かれる要素であるに違いない。仕事も出来るし、多分、綺麗な顔もしてると思う。多分、ていうのは今まであたしが山都さんをこうしてマジマジと見る必要がなかったから。眼鏡で隠した瞳は吸い込まれそうな深い色をしていたのだと今、気付いた。そう、とても…、



「高見ちゃんは綺麗な瞳だよね」



口を開いたのはあたしじゃなくて山都さんで、今、むしろあたしが考えていた言葉をそのまま口にした。


「山都さんの方が綺麗だと思いますが」


自分、の事なんてどうでもいい。褒められた事なんてないから返答の仕方にも困るし、大体褒められてるのかどうかも曖昧だし。


「あーそう?ありがとう」

山都さんはにっこり微笑んで




「で、そんなに見つめるって事は誘ってる?」




妖しげに笑う口元がやっぱり色気があって、普通なら赤面してしまうに違いない、そんな甘い声。

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