恋愛温度、上昇中!
どーかしてる。本当に。
この人の独特のペースに狂わされっぱなしだ。しっかりしろ、高見紗織。
「山都さん、冗談は程ほどにしましょう。場所変えますよ。大体、こんな夜景が綺麗なスカイラウンジに連れて来るから調子狂うんです。」
そう、こんなに『男』と『女』の雰囲気を見事に演出されれば嫌でもそれに酔ってしまう、いや、こんな不安定な時なら尚更酔いたくもなる。私だって普通のアラサー女子だ。
キッと睨みつけて、その指先を振り解く。
「飲み直しましょう。今日は私飲みたい気分なんです。まだそんな下ネタジョークを繰り広げる気なら帰りますけど」
そこまで言い切るとクイッとグラスに残ったワインを飲み干して、カタンとグラスが揺れる音に義務的ににこりと笑った。