恋愛温度、上昇中!

小倉さんは少しだけ真面目な顔をして「頑張って追いつきます」と言った。あたしの事嫌いじゃなかったのか、とか、こんな真面目な顔出来るんだとか、そんな事もよぎったけどそれよりも、



「…ありがとう」




嬉しい、と思った。照れくさくて歯痒い。


小倉さんは何故か少し驚いた様な顔を一瞬して頬を染めるとはにかんだ様に笑った。そして、すぐに会話を逸らすように、


「そういえば、主任、この間【a】の前にいませんでしたか?」



不意に投げられた疑問文。
ほんわかした空気も束の間。
…【a】?そこがどこかよく分からない。小倉さんがそれに気付いて場所を説明してくれる。


そして、理解できたのはそれがあの日、最後に関谷に会った日で、あたしと関谷がバーを飛び出して少し歩いたあの場所がその【a】っていう店の、



「知らないんですかぁ?今すっごい流行ってるダイニングバー」


ちょうど、真正面らしい。


< 370 / 418 >

この作品をシェア

pagetop