恋愛温度、上昇中!

「すっごく、上手かったんですよ~」

ニヘラっと笑うマチちゃん。体育会系の通常の彼女の面影はない。

「…あっそ」

なんのこっちゃ。思わず半目になっちゃったじゃない。私はまたパソコンに向き直る。


「紗織さんこそ!!あんないい男二人に挟まれて羨まし過ぎです!!」


マチちゃんのニュアンスに若干の疑問を抱いたけど、確かにあの二人が世間一般に『美形』グループに所属しているのは分かる。しかも、上等、の。

「別に何もないから」


私は素っ気なくそう言った。


そう、何もない。


思い出しても何もない。




…タクシーに乗り込むまでは。


会話という会話なんか飲んでいる最中だって殆どなかった。


なのに、あの名刺は、当たり前のように私の部屋に居座って、


そして、唇に残る、およそ───3年少しぶにの感覚も、消えてくれない。


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