恋愛温度、上昇中!
「でも新橋さんの誘いを断るなんて初めて見たらしいですよ?」
「え?」
「澤田さんが言ってました。あの微笑に落ちない女はいないって」
確かに。あのキラキラした後光には逆らえる気がしない。しかし、誘われた、って。あんなのタクシーで一緒に帰るか帰らないかっていうだけの話じゃないの。関谷も同じことを言っていたけど、やっぱり違う気がする。
「マチちゃんは落ちてないじゃない」
タレ目と消えたし。
「だって、あれは私の手には負えませんよ!!まあ新橋さんに、澤田さんみたいな感じでストレートに口説かれてたら、もう間違いなく落ちてますけど」
マチちゃんは言い切りながらにやけた。
「だけど、あんな完璧な人とエロの破けた様な人がいると、どうも澤田さんの手の届きそうな感じに惹かれちゃいますよね。心理ですねー」
エロの破けた様な人って。そのあけすけな物言いに噴き出しそうになった。上手い事いうんだもの。
「紗織さんのガードの硬さを尊敬します!」
キラキラした瞳にうっと言葉が詰まった。あっさり唇奪われましたなんて到底言えない。
そして本当に尊敬すべきは、空気と化してくれたタクシーの運転手さんだ。