恋愛温度、上昇中!
■■■

――――――――――――――…
――…


「紗織さーん、ここ、ちょっと意味不明です」


マチちゃんの持ってきた書類に目を通す。


意味不明って、


って思ったけど、パソコンで打たれた機械的な文字列は、途中から途切れて文章の繋がりがおかしい。確かに意味不明。まあ、いい。


「これ、打ったの小倉さんでしょ、彼女に聞いて」


マチちゃんは明ら様にいやそうな顔を作ってから、「…あいつまた消えやがった」と社内を見渡してブチブチ言っている。その仕草に笑える。


それから、あたしをもう一度振り返って




「紗織さん、今日飲みに行きませんか」



爽やかな笑顔。相変わらずマチちゃんには何故か懐かれて、



「あー、あたしもご一緒したいなぁ」


どこから現れたのか、アイメイクに力の入る小倉さんが甘ったるい声で近づいた。マチちゃんは、鼻のあたりをピクピクさせながら、「小倉さんはこの書類直してね」とトンと手渡して「えー」なんて甘い声に大袈裟に溜め息をついていた。


いや、いいコンビだと思うんだけど。




< 405 / 418 >

この作品をシェア

pagetop